運転中の音楽に変化を与え眠気を気づかせるシステム

日本大学文理学部情報科学科北原研究室所属

阿部 賢人




研究概要

近年,自動車は人々の生活に必要不可欠になりつつある一方,大きな事故の要因にもなっている. 様々な運転支援システムの実装により,交通事故件数は減少傾向にある. しかし,人々は運転支援システムに頼り,脇見運転,漫然運転による事故が相対的に増加傾向にある.
運転支援のアプローチとして自動車の動きを制御するシステム,運転者の覚醒を刺激するシステムの大きく2つに分けられる. その中で覚醒刺激システムでは,ハンドルを振動させる,シートベルトを引き締めるなどがあるが,運転操作の障害となり,危険が増す可能性がある. 運転操作に直接の障害が少ないであろう音により覚醒刺激するシステムに着目すると,警告音を再生するシステム,サービスエリアに誘導するシステムなどが開発されている. 高い音圧で警告音を再生すると覚醒刺激に有効であることは想像できる. しかし、必ずしも音圧レベルの高い音を出すことができるとは限らない. 車内で子供が寝ているなど、同乗者に配慮しなければならない状況も考えられる. 他にも様々なシステムが開発がされているが,運転者や同乗者に不快感を募らせるものも少なくない.
本研究では,音圧を上げられない状況を考慮し,ビープ音やアラーム音など新たに音を加えるのではなく,車内で再生中の音楽の周波数を変化させることにより運転者へ自身の眠気を通知するシステムを提案する.
本システムを評価するにあたり警告音を再生するものを比較対象とし,評価実験を行った. 実験の詳細は,実施する時間帯を昼過ぎにする,室温を高めにするなど眠くなりやすい環境をつくり,ドライブシミュレータを用いて障害物を回避する実験である. 結果として,2つの手法の間に有意差がみられた3人のうち1人は,運転者が自身の眠気に気付くまでの時間が本システムの方が短かった. 主観評価からも大きな差がみられた評価は少なかったが,9人中4人が提案手法の方が「快」と答えた.



研究資料


卒業論文
2019年2月卒業論文 (pdfファイル)

卒業研究発表スライド
2019年2月卒業研究発表会スライド (pdfファイル)

プログラム
研究に使用したプログラム (zipファイル)