即興演奏支援に関する研究

北原鉄朗(関西学院大学),石田克久,武田正之(東京理科大学)

本ページでは,我々が行った即興演奏支援に関する研究成果について解説します. 詳しくは参考資料をご覧ください.

ism:音楽的に不適切な音を自動的に補正する演奏支援システム

ユーザの即興演奏を監視し,音楽的に不適切かどうかを判定し,不適切なら他の音に補正するという新たな演奏支援システムを開発しました.これまでに様々な演奏支援研究がありましたが,即興演奏を扱ったものは少なく,「楽器演奏経験はあるが,即興演奏は敷居が高い」という方々に対してその敷居を低くし,即興演奏の楽しみを実感していただくのは困難でした.本システムを利用することで,多少音楽的に不自然な旋律を弾いてもスピーカーからは音楽的に自然な旋律が出力されますので,初心者でも臆することなく,即興演奏の楽しさを実感することができます.


図1 即興演奏旋律補正システムismのGUI画面

本システムを開発する上で課題となるのは,ユーザの演奏からどのようにして音楽的に不適切な音を検出するかです.我々は,既存のメロディを大量に集めたデータベース(旋律データベース)を利用し,ユーザの演奏と同じ性質のメロディがそのデータベース中に現れる確率に基づいて,メロディの適否を判断する方法を考案しました.


図2 即興演奏旋律補正システムismにおける旋律補正アルゴリズム

ismv:音楽的に不適切な音を振動で知らせる演奏練習支援システム

ユーザの即興演奏に対して音楽的に不適切な音を検出し,それを鍵盤を振動させることでユーザに知らせることができる即興演奏練習支援システムを開発しました.上で述べたismでは,外の人に聞こえる演奏は音楽的に自然なものになりますが,音楽的に自然な演奏ができるようにユーザ自身が成長する方法は考えられていませんでした.本システムでは,音楽的に不自然な音を検出したときに,他の音に差し替えるのではなく,鍵盤の1鍵1鍵に内蔵された振動モータを振動させることで,ユーザに知らせ,ユーザの学習を促します.

このシステムを実現するために,1鍵1鍵に振動モータを内蔵した鍵盤「ぶるぶるくん」を開発しました.振動を利用することで,確実にすばやくユーザに情報を伝えることができます.


図3 「ぶるぶるくん」に内蔵されている振動モータ

参考資料