学会誌・論文誌 音楽情報処理関連特集号一覧

北原 鉄朗

近年,音楽情報処理の研究がさかんになってきており,様々な学会誌や論文誌で,音楽情報処理に関する特集号が不定期で組まれています.本ページでは,各種学会誌・論文誌で組まれた音楽情報処理関連特集号へのリンクをまとめて掲載します.

情報処理(情報処理学会誌) Vol.35, No.9 「特集:音楽情報処理」(1994年9月) [LINK]

音楽情報処理の様々なトピックに関する解説記事の特集,という(おそらく)当時としては画期的な特集号.自動採譜,音素材の生成,伴奏システム,音楽認知などが主なトピックで,各々の記事で語られていることには,今でも通用する部分は少なくないと思います.本文はこちら(CiNii)から.

情報処理学会論文誌 Vol.43, No.2 「特集:音楽情報科学」(2002年2月) [LINK]

音楽情報処理に関する原著論文を集めた日本初の特集号.歌声生成から演奏分析・支援,セッションシステム,作品制作まで幅広い分野の論文が納められています.作品制作に関する論文が載っているというのは,なかなか珍しいと思います.27件のうち12件掲載(採択率:44%).僕の論文は残念ながら採択されませんでした.本文はこちらから無料でダウンロードできます.

システム/制御/情報 Vol.46, No.11 「音楽情報処理研究への誘い特集号」 (2002年11月) [LINK]

音楽情報処理分野の様々なトピックを,第一線で活躍されている研究者・技術者の方々がコンパクトに解説してくださっています.音源分離,楽譜認識,自動演奏,映像とのインタラクション,ソフトシンセ,DTMが主なトピックです.解説記事の特集なので原著論文はありません.

情報処理学会論文誌 Vol.45, No.3 「特集:音楽情報科学」(2004年3月) [LINK]

情報処理学会論文誌で2回めの音楽情報処理関連特集号.主なトピックはリズム認識,楽器音認識,セッションシステム,演奏支援,歌声合成,音楽データベース.23件のうち9件採録.僕の論文(楽器音認識)と僕が共著のテクニカルノート(即興演奏支援)もめでたく採録されました.本文はこちらから無料でダウンロードできます.

Communications of the ACM 日本語版 Vol.4, No.2 「音楽情報処理」(2004年6月) [LINK]

アメリカの情報工学分野の2大学会の1つ「ACM」の学会誌「Communications of the ACM」(CACM)から,記事をピックアップして和訳したものが「CACM日本語版」です.この特集号は,2003年に出版されたCACMのなかから音楽情報処理に関する記事を抽出してまとめたものです.翻訳は京都大学奥乃研が中心になって行いました.もちろん,僕も翻訳に参加しました.本文はこちらからどうぞ.

IEEE Transactions on Audio, Speech, and Language Processing Vol.14, No.1 「Special Section on Statistical and Perceptual Audio Processing (2006年1月) [LINK]

音楽情報処理だけに特化したものではないですが,音楽を含む音響の信号処理に関する特集号です.音楽を題材とした論文も多数掲載されています.音楽に対するムード検出,音楽のスパース表現,楽器音認識,音色の距離,音楽の音源分離など.これは韓国でICSLPのサテライトワークショップとして行われたSAPA 2004との連動企画になっています.

Communications of the ACM Vol.49, No.8 「Music Information Retrieval」(2006年8月) [LINK]

本家CACMが組んだ音楽情報検索特集号.音楽情報処理のなかでも検索に特化した特集号ですが,音楽音響信号処理,音響信号と楽譜の対応付け,Query-by-Hummingから実際の検索システムやサービスまでバランス良くおさえています.

情報処理学会論文誌 Vol.48, No.1 「特集:便利で身近な音楽情報処理」(2007年1月) [LINK]

情報処理学会論文誌で3回めの音楽情報処理特集号.今回は「便利で身近な」という言葉が特集号に付き,一般ユーザが便利に活用できる身近な技術に重点をおいて論文が募集されました.そのため,掲載された論文も,従来からある楽器音認識,歌唱分析,演奏分析・表情付けなどの他,音楽の検索や流通,ネットワークサービスなど多岐に渡る.今回の特集号に限り,論文の参考デジタルデータを音情研のサイトからダウンロードすることができます.25件のうち9件採録(採択率:36%).僕の論文も何とか採録されました.本文はこちらから無料でダウンロードできます.

Communications of the ACM 日本語版 Vol.6, No.2 「音楽情報検索」(2007年6月) [LINK]

上述のCACM特集号を和訳したものです.今回も京都大学奥乃研が翻訳にあたりました.僕も翻訳に参加しました.本文はこちらからどうぞ.

EURASIP Journal on Advances in Signal Processing Vol.2007 「Special Issue on Music Information Retrieval based on Signal Processing」(2007年) [LINK]

音楽情報検索に関する原著論文の特集号.信号処理の論文誌なので信号処理ベースの研究がほとんどです.具体的にはジャンル分類,テンポ推定,採譜,発音時刻検出,楽器音認識,調判定,音楽構造分析,音楽類似度,ハミング検索,楽譜認識など.僕の論文(楽器音認識)も掲載されています.

IEEE Transactions on Audio, Speech, and Language Processing Vol.16, No.2 「Special Issue on Music Information Retrieval」(2008年2月) [LINK]

こちらも音楽情報検索に関する原著論文の特集号.EURASIPと同様,信号処理ベースの研究論文が大多数を占め,かなり読み応えがあります.読み応えがありすぎて,まだ読んでないものが多くありますが.信号処理系の論文は,マルチピッチ(混合音中の音高)の解析,音源の識別,コード認識,圧縮された音楽における歪みの推定,音楽構造解析,歌詞と音響の対応付けなど.その他にも検索・分類・推薦技術に関する論文もあります.僕の学生時代の後輩の吉井君の論文も掲載されています.

情報処理学会論文誌 Vol.50, No,3 「特集:音楽情報処理」(2009年3月) [LINK]

情報処理学会論文誌で4回めの音楽情報処理特集号.内容は,音響分析合成,自動編曲,自動伴奏,音楽データベース,音楽情報検索,音楽感性情報処理,音楽インターフェース,音楽可視化とおなじみな感じで,著者もおなじみな感じになってしまっています.僕は所属が変わって初めての投稿でしたが,なんとかぎりぎりで採録されました.採択率は,27件のうち8件採録(2件辞退,32%)と少し低めになっています.

IEEE Transactions on Audio, Speech, and Language Processing, Vol.18, Issue 3 「Signal Models and Representations of Musical and Environmental Sounds」(2010年3月) [LINK]

(執筆中)

Pattern Recognition Letters 「Future Trends in Pattern Recognition of Non-Speech Audio Signals」(2010年9月) [LINK]

その他

上記以外に,Computer Music JournalJournal of New Music Researchでも頻繁に音楽情報処理関連の特集号が組まれています.