研究内容
音楽と印象に関する一分析
概要
近年, コンピュータの発達によって, コンピュータ上での創作活動が盛んになっている.
創作活動の例として, 作曲と編曲 (以下, 作編曲)が取り上げられ,
ボーカロイドやDTMなどコンピュータを利用した作編曲が数多く存在する.
しかし, 作編曲は未経験者にとっては難しいことだと予想される.
このような初心者に対して, 既存の研究や製品で楽曲の自動生成を行なうものは数多く存在している.
しかしながら, これらを用いてユーザが所望する楽曲を生成するのは容易ではない.
理由として, 生成される楽曲の特徴に関する要件をユーザがシステムに伝えるのは簡単ではないからである.
その問題を解決する方法として, 「陽気な」「力強い」などの楽曲を聴いたときの印象を印象語で表したものを
作編曲のパラメータに増やすことが考えられるが, それを実現するには,
これらの印象語が表す印象を楽曲 (MIDIデータ)のどんな特徴が作り出しているのかを明らかにする必要がある.
河村らが策定した8つの印象語に対して, 各々が表す印象の高低をMIDIデータから自動識別する決定木を構築する.
J-POP楽曲86曲分のMIDIデータの各々に, 上述の印象語に対する印象の正解ラベルを
聴取実験をもとに付与し, 様々な特徴量セットを用いてJ4.8で識別を行った.
その結果, 「穏やかな」「興奮させる」「力強い」では平均テンポが重要な役割を持っていることが明らかになった.
また, 最頻の音価との相関があり, 「陽気な」「興奮させる」「力強い」において重要であり,
リズムの複雑さが「憂鬱な」「穏やかな」「陽気な」と関連があることが分かった.
資料
卒業研究発表スライド(PDFファイル)
卒業論文(PDFファイル)